みなさんこんにちは。
クリニック診療で相談される、一番の悩みはなんだと思いますか?
僕らのクリニックでは「しみ」に悩まれている方が最も多くいらっしゃいます。
そこで最近患者様からよく質問されるのが・・・・第一三共ヘルスケアから発売された「トランシーノ」というお薬。 「先生、私はあれ飲んだほうが良いでしょうか?」というご質問をよくいただきます。
今回は飲み薬についてお話します。
みなさんのシミはどのタイプ?
30代くらいから両頬に浮き出てくるシミを感じる方は多いと思います。
両頬にほぼ対称に出てくる色素としては
① 肝斑 ② 両側対称性太田母斑
などが代表的なものとしてあげられます。見極めは非常に難しいのですが、
①はぼやーっと境界がちょっと分かりづらく、色味は茶色っぽいことがほとんどです。
②はどちらかというと径2-3mmの丸くややっ青黒っぽい薄いほくろのようなものが 集まってくるという経過をたどります。それぞれを悩んでいる方は多いですが今回は①のお話になります。
肝斑は慢性の炎症?
シミといえば、レーザー治療!みたいな考え方は世の中に拡がっています。 もちろんあながち間違えとはいえませんがレーザーなどを強く照射してしまうと 濃くなってしまうシミがあります。
それがまさに「肝斑」です。肝斑は何かしらの原因で頬に慢性の炎症が起こって いるのではないかと考えられています。それが女性の生理周期などで若干濃くなったり薄くなったりする印象があること から「ホルモンバランス」が影響しているのではないかという先生もおられます。
ただ、残念ながらすべては分かっていません。レーザーでシミを消すということは 黒い細胞を簡単に言えば焼いてしまうということ=火傷させるということです。
みなさん、火傷するとヒリヒリしますよね。ヒリヒリとはまさに炎症が起こっているサイン。 多かれ少なかれしみを取るようなレーザー後には炎症が起こっているわけです。
でもこの肝斑は慢性の炎症。炎症がさらに強まると当然濃くなってしまいます。
だから、肝斑には強いレーザーは禁物!もっとも、現在はレーザーとは似て非なる IPL治療という範疇の「ライムライトやオーロラ」などがあり、大きな炎症を起こさずとも しみが取れるようになりました。
これにより肝斑も濃くすることなく治療することが出来るようになりました。でもIPL開発以前はじっくり炎症をとる治療が肝斑の治療の唯一の方法でした。
意外と身近な成分「トラネキサム酸」
肝斑は昔から悩みとしてはあったんです。
その炎症を抑える成分が「トラネキサム酸」。トランシーノの主成分です。
トランシーノはOTC薬品です。OTCとはover the counter=カウンター越しに買えるお薬。
つまり処方箋なしに買えるお薬です。でも実は、僕らのクリニックのような医療機関では既にこの成分のお薬を以前から処方していました。
OTCではないのでもっと強力なやつを・・・ しかもトランシーノより安く(笑)。
ということで前述の「先生、私はあれ飲んだほうが良いでしょうか?」という質問には大概、「○○さん、今飲んでもらってるこの薬が同じ成分ですよ。しかも○○さんは倍の容量飲んでます。安心してください。」となる訳です。
ちなみにこのお薬、のどが痛いときなどに内科の先生が処方してくれる薬でも あるので飲んだことがある方も多いはずです。しみの治療を行っている医療機関では 処方してくれるところが多いはずです。
肝斑かなと気になる方一度医療機関にご相談されてもよいかもしれません。